積立NISAをはじめる前に:仕組みと活用法をわかりやすく

Instructions

これから将来のために少しずつお金を準備していきたいと考えている方にとって、「積立NISA」という名前を目にしたり聞いたりする機会があるかもしれません。ただ、「何だか難しそう」「自分には関係ないかも」と感じて、詳しく調べる前から少し距離を置いてしまっている方もいるでしょう。

この記事では、特にこれまで金融商品に触れたことのない方に向けて、積立NISAという制度がそもそもどういうものなのか、日常生活の中でどういう位置づけになるのかを、できるだけ身近な言葉で説明します。具体的には、積立NISAの基本的な性格と2024年の新制度での変更点、この制度を利用している方の実態、制度の中で扱われる商品のタイプ、利用を開始するまでの大まかな手順、そして長く続けていくための考え方について順番にご紹介します。最後に、よくある疑問をQ&A形式でまとめています。この記事が、積立NISAを理解する最初のきっかけとなり、将来の計画を考える一つの材料になれば幸いです。

//img.enjoy4fun.com/news_icon/d5o447afdmdc72sqke9g.jpg

1. 積立NISAとは:将来のための「しくみ」のひとつ

積立NISA(つみたてNISA)は、将来に備えて長い時間をかけて少しずつお金を準備していく方法を、制度として応援する仕組みです。この制度を使って特定の方法でお金を管理すると、その過程で生じる利益に対して通常かかる税金がかからない、という特長があります。

このような制度が設けられている背景には、個人が長期的な視点で資金を形成していくことを社会全体として考えている流れがあります。金融庁の情報によれば、国によって家計の資産の持ち方は異なりますが、日本では現金として手元に置いておく割合が高い一方で、時間をかけて資金を準備する方法が他の国々に比べてまだ広まっているとは言えない面があるとされています。積立NISAは、そうした環境の中で、より多くの方に長期的な視点を持った資金計画について関心を持ってもらうための選択肢の一つとして用意されています。

2. 2024年、「新NISA」へ:積立NISAと一般NISAの違い

NISAという名前の制度には、主に「積立NISA」と「一般NISA」という二つの異なる方法があります。2024年からは制度が「新NISA」として見直され、それぞれ目的や進め方に違いがありますので、どのような選択肢があるかを知っておくことが役立ちます。

特徴積立NISA (定期定额投资框架)一般NISA (新NISA・成長投資枠)
目的に合った使い方毎月決まった額を、長期間にわたって自動的に関連する商品に振り分けていく方法。個別の選択に応じて、より多様な商品に関わる方法。
1年間で利用できる額120万円まで240万円まで (内訳:成長投資枠120万円+つみたて投資枠120万円)
制度の特長が続く期間非課税期間が無期限に (新制度)非課税期間が無期限に (新制度)
主に関連する商品のタイプ長期にわたって少しずつ利用することを想定して選ばれた、特定のグループに属する投資信託。幅広い種類の商品(例えば、個別株式、上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(REIT)など)。
生涯の非課税投資枠新NISA全体で1800万円が上限となります。

このように、積立NISAは「毎月コツコツと、自動的で、長い期間」 を重視した方法と言えます。一方、一般NISAは関われる商品の幅が広く、より自主的な運用力が求められる方法です。最大の変更点は、非課税期間が従来の5年や20年から「無期限」になったことです。これにより、より長期の視点での計画が立てやすくなりました。

3. 誰が利用している?積立NISAの利用者像

積立NISAはどのくらい普及しているのでしょうか。また、どのような方が利用している傾向があるのでしょうか。

まず、普及度についてみてみると、NISA制度全体の口座数は増加傾向にあります。2025年3月末時点で、NISA口座数は約2647万口座に達したとの報告があります。これは日本の人口の約20%に相当する数です。

では、特に積立NISAを選択する方にはどのような特徴が見られるのでしょうか。いくつかの調査や研究から、以下のような傾向が指摘されることがあります。

  • 投資スタイル:リスクを抑えながら、長期的な視点で資産を形成したいと考える方に選ばれる傾向があります。自分で細かいタイミングを判断するよりも、自動的・系統的に続けていく方法を好む方が多いようです。
  • 年齢層:老後資金の準備を考える中高年層だけでなく、少額から将来のために始めたい若年層にも利用が広がっています。
  • 性別:投資を始めるハードルが比較的低いため、女性の利用者も多く、家計管理の一環として捉えている方も少なくありません。
  • 投資知識のレベル:必ずしも詳しい金融知識がなくても始められる設計となっているため、投資の経験が浅い方が、最初の一歩として選択するケースもあります。

このように、積立NISAは「投資の専門家」だけではなく、ごく普通の生活者が将来に備えるためのツールの一つとして、幅広い層に受け入れられつつあります。

4. 積立NISAで利用できる商品のタイプ

積立NISAでは、どんな商品でも利用できるわけではありません。あらかじめ「長期的に、少しずつ利用していくことに向いている」と判断された、特定の基準を満たした商品に限られています。中心となるのは以下のようなタイプの商品です。

専門家によって管理・運営される投資信託:多くの方々から集められた資金を一つにまとめ、専門の運用担当者が国内外のさまざまな企業の株式や債券などに分散して投資しながら管理していくタイプの商品です。

  • インデックス型(指標連動型):日経平均株価やTOPIX、S&P500など、市場全体の動きを示す特定の指数に連動する成果を目指して管理される商品です。運用コストが比較的低く設定されている場合が多いです。
  • バランス型:一つの商品の中で、株式や債券など異なる種類の資産や、日本・海外など異なる地域に自動的に分散して投資するように設計されている商品です。一つの選択で分散が図れる点が特長です。

積立NISAで利用できる具体的な商品の一覧は、銀行や証券会社などの窓口やウェブサイト、また金融庁や各金融機関のサイトで公開されている「つみたてNISA 対象商品リスト」などで確認することができます。商品を選ぶ際には、その商品が「どのような資産に投資しているか(投資対象)」、「これまでの値動きはどのような傾向か(基準価額の推移)」、「関わるために必要な費用はどれくらいか(信託報酬等)」を確認することが一連の流れとなります。

5. 利用を開始するまでの大まかな流れ

積立NISAを始めるには、一般的に次のような順序で準備を進めていくことになります。

  1. 金融機関を選ぶ:積立NISAの口座を作ることができる機関は複数あります(銀行、証券会社、信用金庫など)。取り扱っている商品の種類、手数料の有無や内容、インターネットやスマートフォンからの操作のしやすさ、相談窓口の有無などを比較して、利用する機関を決めます。
  2. 口座を作る:選んだ機関で、積立NISA用の口座開設の手続きを行います。最近では、スマートフォンで必要な書類を撮影して送るなど、オンラインで手続きを完結できる機関がほとんどです。本人確認のための書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)の提出が必要となります。
  3. 商品を選ぶ:金融機関が積立NISA用として用意している「対象商品リスト」から、利用したい商品を一つ以上選びます。初めての場合は、国内外の多くの資産に自動的に分散する「バランス型」や、世界の市場全体の動きに連動する「グローバル・インデックス型」から始めてみる場合があります。
  4. 計画を設定する:「毎月1万円」や「毎月3千円」など、毎月いくらずつ積み立てていくかを決めます。年間120万円という上限を超えない範囲で、生活費に影響の出ない無理のない金額から始めることが長続きのコツです。毎月の実行日(例:給料日の翌日など)も設定でき、その後は自動的に続けられていきます。

6. 長く続けていくための考え方

積立NISAは、短い期間で大きな結果を出すことを目的とした方法ではありません。長い時間軸で物事を捉える視点が、この制度を活用する上での一つのポイントと言えるでしょう。

  • 「時間」という要素を考慮する:関連する市場の価格は日々動いています。しかし、毎月決まった金額を続けていくことで、価格が高い時期には購入数量が少なめに、価格が低い時期には購入数量が多めに自動的になります。このような進め方(ドルコスト平均法と呼ばれる考え方)により、長期的に購入する平均的な単価を平準化する効果が期待できると言われています。
  • 「分散」の意味:一つの企業の株式や一つの地域に集中するのではなく、積立NISAで推奨されているように複数の資産・地域に分けて投資することで、どこか一部分が下落した場合でも全体への影響を和らげる可能性があります。
  • 「長い目で見る」ことの重要性:一度始めた後に、市場が下落する局面で慌てて売却してしまうと、損失が確定してしまいます。積立NISAは長期の資産形成を目的とした制度であるため、短期的な価格の動きに振り回されずに、長期的な成長の過程として見守っていく姿勢が大切です。
  • 元本は変動する:積立NISAで購入する投資信託の価格(基準価額)は市場の状況によって変動します。したがって、元本(投資した元々の金額)が保証されているわけではありません。価値が減少する可能性がある点を理解しておくことが重要です。

Q&A:積立NISAに関するよくある疑問

Q: 金融のことをほとんど知らなくても大丈夫ですか?
A: 知識がなくても手続きを始めることは可能です。積立NISAは、専門家が管理する特定の商品を長期的に利用していくことに特化した制度であり、自分で個々の企業を選んだり、細かい売買のタイミングを判断したりする必要はありません。ただし、元本が変動する可能性があるため、制度の基本的な仕組みについては理解した上で始めることが望ましいと言えます。金融庁の「つみたてNISA特設ページ」などで事前に情報を得ることができます。

Q: どのくらいから始められますか?
A: 多くの金融機関では、月々1,000円や5,000円など、少額からの設定が可能です。年間の上限は120万円ですが、まずは生活に無理のない範囲の金額から始めてみる方法があります。継続していくためには、日常の支出に影響を与えない計画を立てることが一つのコツと考えられます。

Q: 普通の預金とどこが違うのですか?
A: 主な違いは二つあります。一つは「元本の保証」についてです。普通預金は預金保険制度の対象であり、元本と一定の利息が保証されています。一方、積立NISAで購入する投資信託の価値は市場の状況により変動するため、元本が保証されているわけではありません。もう一つは「目的」です。預金は主に「貯める(保存する)」ことを目的としますが、積立NISAを通じた投資は、インフレ(物価上昇)を長期的に上回る成長を目指す可能性がある反面、価値が減少するリスクもあるという点が、預金とは異なります。

Q: 途中でやめたくなったらどうなりますか?
A: 毎月の積立を一時停止したり、保有している商品を売却したりすることは可能です。ただし、売却して得た利益が非課税になるのは、積立NISAの口座内にある間です。口座からお金を引き出したり、他の一般口座に移したりすると、その時点で課税の対象となる仕組みになっています。また、一度使用した非課税の投資枠は、たとえ売却しても戻ってきません。制度の詳細な取り扱いについては、利用している金融機関に確認することが確実です。

参考情報源:

READ MORE

Recommend

All